『せんせえ~、<ほじゅう>って漢字でどう書くかわかる?』
と聞いてきたのである。
『そうやね~、<ほじゅう>はこうかな』
わたしは紙に『補充』と書いて見せたのである。
『せんせえ~、良く知ってるね』
『そりゃ~、先生だって勉強してるからこれくらい書けるよ!』
わたしは見栄をはって少し得意げに言った。
その生徒はにっこりわらって
『じゃあ~、せんせえ~、<いるか>って書ける?』
『・・・・・・』
『僕、書けるよ。<いるか>はこう書くんだ、海の豚て書くんだ』と言って
得意げに『海豚』と書いてみせた。
『すごいね・・・、良く知ってるね・・・・』
『じゃあ、せんせえ~<ひとで>ってどう書くか知ってる?』
徐々に彼の立場が私より上になってゆく(笑)
しまったハメられたか?・・・・、
その生徒は好奇心旺盛でインターネットで漢字を探すのが趣味だったんだ、
忘れてた・・・・
一見、レッスン中にピアノレッスンとは関係のない無駄と思える会話。
でもこんな時その生徒の本質が見えてくるのである。
音楽だけではない好きなことに没頭する彼の個性は私の魂を揺さぶるのである。
私はどの生徒ともレッスンに無駄を入れることが多い。
(仕事をさぼっているわけではありませんのでご理解を・・・)
そしてその無駄の中で相手が見えてくるのである。
そして、『絆』が出来るのである。
また、それ『絆』は私のレッスンへのエネルギーとなるのである。
まさに『ピアノレッスン』は理屈だけでは割り切れないものを多く含んでいるといえる。