もちろんピアノも習っていませんでした。
いまから55年くらい前でしょうか。
当時のわが家にはテレビもなく、ゆっくりとした時間の流れで生活していたまさに昭和まっさかり、
隣は父の勤める会社だったのですが、その会社とわが家を隔てる塀(へい)がありました。塀といっても当時は木でできており、その塀に子供のわたしにとって胸くらいの高さでしょうか、小さなくぎの頭が3本出ていました。
ある日わたしはその3本のくぎの頭に1本の輪ゴムを不等辺3角形の形ができるように引っ掛け、1つの辺をそっとつまびいてみました。
するとどうでしょう。わたしにとって夢のような響きの音が出たのです。
わたしは思わず他の辺もつまびいてみました。すると響きが違うのです。(当時はわからなかったけど音程です)
わたしはもう夢中でその3本の辺が奏でる独特のメロディーに酔いしれて、即興演奏とでもいえるのでしょうか、しばらくその音に興じていました。
それは秋だったのでしょうか?夕焼空の中で暮れ行く暗さに輪ゴムが見えなくなるまで続いたことを体の冷たさと共にはっきりと覚えています。
そしてその遊びは何日か続いたとも記憶しています。
こどもの感性は自分の事ながら本当にすごいと思います。
今わたしが、庭で輪ゴムの音を出して夢中で遊んでいたらきっとご近所の方に
『橋本さんもついにボケたか・・・』(笑)
でも55年前のわたしと今のわたしは同じ人間です。
ピアノレッスンをしている時に、まだ初心者である生徒さんが『メリーさんのひつじ』などを弾きながら思わずペダルを入れっぱなしにしてうっとりしていることがあります。
わたしはこんな時子供のときのこの体験を思い出します。
経験者にとって、不都合なペダルの入れ方も子供にとっては夢の世界なのです。
耳が洗練されていくのはもっと先のことでしょう。
でも『聴く事の楽しさ』を育てる第一歩を踏み出しているに違いありません。
はしもと・じゅんこの自己紹介動画です。見てくださいね!!
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輪ゴムを弾くと音がでる遊び、私もしました(笑)ギターの型に厚紙をきって輪ゴムを5本張ってポロンと弾いて遊んでたんです。昔の子供は工夫して遊んでたし、感性も豊かだったような気がします。先生の音楽への原点、貴重で懐かしい体験ですね。
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返信削除サニーさんありがとうございます。私にとっても作曲の原点になった思い出です。
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